Last UpDate (10/12/28)
「あけおめなのじゃっ!」
新年早々元気ハツラツ。
いつも以上のハイテンションで振り袖をぱたぱたとふって喜びをアピールする「スネーク」ことティアマット。
可愛らしく笑う顔は、小さな外見そのまま。
無宗教な人々も神社に殺到するこの時期にこそ、普段から「神」と自称している彼女が本領を発揮する、まさにその時のはずなのだが……あいかわらず威厳の欠片も存在しない。
「おめー」
そんな彼女のテンションと全く正反対? 相変わらず感情を表に出さずにおきまりの祝辞を適当かつ、簡単に述べるベア。
振り袖を、動きやすく丈を短くして着たスネークとは違い、きっちりと着こなした彼女は、その無表情加減も手伝って、文字通り「お人形さんのように」可愛い。
2人の着付けは、隊の隊長でありながら、お姫様でもあるゼミニアの執事、侍女達が行っており、少しぐらい動いたところで乱れないようにきちっと着付けられている。
「ふっふっふ、ベアよ。わらわは先程神社という所で、「お願い」をしてきたのじゃ。きっと効果覿面じゃぞ」
したり顔で不敵な笑みを浮かべるスネークに、「……それで?」もはや驚きもせず、むしろ呆れた声音で返すベア。
「今年こそ、お主にまんじゅうを食べて貰うのじゃ!」
神を自称しながら神に祈る……それで良いのかスネーク。
初詣を始め、人々の暮らしのイベントには率先して参加するが、その意味を理解せず、ただ雰囲気にのって楽しんでしまえるあたり、彼女が「人の幸せ」を理解する日はそう遠くなさそうだ。
理解したとしても本人がそれに気がつくかどうかは別の話だが。
「あ、そう」
自信満々に宣言したスネークを、ため息混じりの返事で一蹴するベア。
少々ショックを受けた顔を一瞬するスネークだが、それでへこたれる彼女ではない。
あきらめの悪さは、初詣の願いが叶わないで一年終わった人間のそれと全く比べものにならない。
「そ、そうしていられるのも今のうちじゃ! この祭りにちなんだ遊びでお主にまんじゅうを食わせてやるのじゃぁ!」
ちょっぴり目の端に涙を溜めながら、それでも懲りずにベアに絡もうとする。
どこから取り出したのか、彼女の手には羽子板が握られていた。
「決闘じゃぁ!」
力任せに羽子板をベアに投げつけるスネーク。
手袋のつもりか……長く旅する彼女はの行動には、色々な文化が絡み合って、訳がわからなくなってしまっており、本人もニュアンス程度にしか理解してしない。
「……いいよ」
いつもであれば流すベアだったが、即答で応じた。
スネークが力任せに投げた羽子板は「コチッ」と受けた本人にしか解らない様な小さな音を立てて、ベアの脛……俗に弁慶の泣き所と言われる場所……にクリティカルヒットしていたのである。
……スネークは全く気がついて居ない。
「よし、では向こうに行くのじゃー!」
珍しく応じたベアの返事に満足したスネークは満足げに、近所の空き地に向かって歩き出した。
年明けて新年。
2人のドタバタは今年も続いて行きそうである。
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